電気ビルの設立は1951年ですが、その始まりは、九州配電(現九州電力・九州電力送配電)の本店が暴風雨により焼失した1949年にさかのぼります。本店社屋の再建が急ぎ検討されるなか、新たに建設する社屋ビルは、単なる電力会社の本店ビルだけでなく、渡辺通という福岡市の都心部である立地条件などの優位性を十分に生かし、当時珍しかった「大ホールを併設した多目的ビル」として再建されます。九州配電はビル業務から離れて電力事業に専念し、九州初の貸しビル会社である株式会社電気ビルを1951年に設立。そして、1952年に電気ビル(旧別館)が完成。大ホール(旧電気ホール)が併設するこのビルは、福岡地域のビル建築様式に大きな影響を与えました。
その後、1960年に「天神ビル本館」、「新小倉ビル本館」、1963年に「九電不動産ビル」、1968年に「電気ビル本館」を建設し、九州電力やそのグループ会社、国内の優良企業にテナントとしてご入居いただきました。これらのビルは当社の基礎を築いていており、多くのビルは現在も稼働しています。
1983年~2002年にかけて「電気ビル新館」、「新小倉ビル新館」、「長崎電気ビル」、「鹿児島電気ビル」、「姪浜電気ビル」を主に九州電力の支店社屋として建設しました。また、天神ビル本館に次ぐ「天神ビル新館」を完成させ、天神地区の活性化にも繋げました。
同地区の開発計画として、2008年に「電気ビル北館」を新たに建設。1952年に建設した電気ビル別館は老朽化により閉鎖が決定し、2009年に解体となりました。電気ビル別館跡には、新しいビジネス空間の提供を目的として、オフィス、ホール・カンファレンス・ライブラリー、店舗からなる複合ビルとして「電気ビル共創館」が2012年に竣工し、渡辺通の新たなシンボルビルとなっています。
2022年4月に竣工した「福岡舞鶴スクエア」は、九電グループが初めて参画した開発型 SPCを活用したオフィスビル事業です。当社は SPC に出資するとともに、初めてプロパティマネジメント業務 (他社が所有する物件管理)を受託しました。
プロパティマネジメント (PM) とは、ビルのオーナーから委託を受け、オフィスビルや商 業施設などの運営管理を代行する業務のことでオーナーのニーズを汲み取り、様々なテナントを誘致したり、日々の施設環境を充実させることで、ビルの価値・評価を高めていきます。
当社はこうしたPM受託を今後も拡大していく予定です。
2022年8月に竣工した「長崎駅前電気ビル」は、電気ビル共創館以来、約10年ぶりのオフィスビル開発事業となりました。西九州新幹線開通をはじめとした再開発が進む長崎駅周辺の賑わいの一翼を担うビルとして、長崎市内では最大規模の1フロア270坪を超える天井高さ2.8mの無柱空間に加え、九州電力の保有する水力発電所・地熱発電所からの再生可能エネルギー 由来の電力を100%導入。平面駐車場には電気自動車用のコンセントを整備するなど、 環境に配慮した設備・運用により、 脱炭素社会の実現にも貢献しています。
また、賃貸オフィスビルの取得やオフィスビル以外のアセットの私募ファンドへの出資なども行っており、九州を中心に優良物件の開発・取得・出資に積極的に取り組んでいます。